私が薬科大学の学生だった時の教授は、以前は喫煙者だったのですが、キッパリタバコをやめたそうです。その理由は、ある時手術で患者様の肺を切ったのを見たとき「肺の中がもうドロドロでね…。
黒いタールのようなものが流れ出してきたんですよ…」これは先生から私が直接お聞きした言葉ですが、それ以来彼はタバコを吸おうとは思わなくなったと言います。厚生労働省がまとめた最新のタバコ情報では、『タバコの煙にはニコチン、種々の発がん物質・発がん促進物質、一酸化炭素、種々の線毛障害性物質、その他多種類の有害物質が含まれています。
喫煙により循環器系、呼吸器系などに対する急性影響がみられるほか、喫煙者では肺がんをはじめとする種々のがん、虚血性心疾患、慢性気管支炎、肺気腫などの閉塞性肺疾患、胃・十二指腸潰瘍などの消化器疾患、その他種々の疾患のリスクが増大します。
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■片肺は吸殻でいっぱい |
妊婦が喫煙した場合には低体重児、早産、妊娠合併症の率が高くなります。
また、受動喫煙により肺がん、虚血性心疾患、呼吸器疾患などのリスクが高くなることも報告されています。低ニコチン・低タールタバコの喫煙により健康影響はある程度軽減されますが、肺がん、虚血性心疾患などのリスクは非喫煙者に比べると依然高率です。』と例外に漏れず喫煙のリスクに対して注意を促しています。
かく言う私も、16年前まではヘビースモーカーとも呼べるような喫煙者だったのですが、ある機会をきっかけにタバコをやめました。こうしてタバコを吸わなくなった今、私が常々思うことは「何故タバコをすうのか?」です。
おそらくタバコが体に悪いと言うことはほとんどの喫煙者が理解されているのではないかと思います。健康に悪い、病気になりやすい、…分かっていても止められない…。上でご紹介した先生でさえも、実際に人の肺の中を見るまでタバコを止めることができなかった。
何故タバコが健康を害するものだと分かっていながら止められないのでしょうか。私も以前は喫煙者ですので、タバコを吸う方の気持ちが全くわからないわけではありません。それでも思うのです「何故分かっていながら止められないのでしょう。」
今回のコラムでは、喫煙がもたらす一番の弊害は何なのか、そして何故、人はそれでもタバコを吸うのかを真剣に考えてみたいと思います。

まずは一つの例として、私がタバコを止めた理由をお聞き下さい。私が禁煙するきっかけになったのは、ある経営セミナーへ参加したときのこと。
講師の方が話した「今のアナタは過去のアナタが選択してきたことの結果です。」の一言でした。その一言に強い衝撃を受けている私に講師の方の更なる次の言葉が突き刺さります。「例えばタバコを吸って病気になるのも、アナタの選択ですね?」
-私は初めて自分の人生を振り返りました-
その当時いろいろな問題を抱えていた私は、そのストレスからかタバコも 1日3箱。
何かにつけイライラしがちで、飛行機などでタバコが吸えないと、とてもストレスになっていたのを覚えています。
それがその講師の方の一言がきっかけになり、そんな今の自分を振り返ったとき、
「自分は何と愚かな選択ばかりしてきたのだろう。それも全て自分が自らしてきたことなのだ。」と気付かされたのです。
いや、思い知らされたと言う方が正しいかもしれません。
その日、自宅に戻った私は講師の方の言葉を思い出していました。その時、最初に思い出した「少なくともアナタにとって、
損か得かを選択肢に追加しただけでも内容が変わりますよ。」この言葉が最後の決め手になり、私はタバコを止めることを決意します。
まずはできることから変えていこう、体にとって「得」なことを選択しようと。そう思ったとき私からタバコを吸いたいという願望がス〜っと消えてなくなったのです。自分でも信じられないことに、次の日にはタバコを吸いたいとは全く思わなくなりました。
「体に悪いからタバコ止めました」などの理由とは異なり、私のタバコの止め方はちょっと珍しいのかもしれません。
でも、少なくとも「損」な選択をするのは止めようという気持ちが強くなったからだと思っています。
そして完全にタバコを吸わなくなった今、喫煙することについて色々なことを感じるようになったのです。

次にタバコを止めて良かったことを、私の実体験に基づいていくつかご紹介したいと思います。
・朝スッキリ起きれるようになった。
・決心したことをやり遂げた充実感があり自分に自信を持てるようになった。
・体調が良い日が断然多くなり「止めて良かった」と実感した。
・自分に言い訳をしなくなった。
その他、体が健康になった事例でしたらいくつもあると思うのですが、私にとって重要だったのはむしろ「心」の方です。特に、タバコを止めてからというもの、自分が非常に多くのことに言い訳をしてきたことが、とてもハッキリ見えてきました。
おそらくタバコを止めるという行為で自分を観た(観察した)のでしょう。ですからそれに気付いてからは自分に言い訳することが少なくなり、自分を認め他人を受け入れることが出来るようになりました。これこそが、タバコを止めて一番良かったことかもしれません。

「その3」で体に「損」なことはしない。というお話をしました。これは実際にお金が「損」をするという意味とも密接に繋がっています。
万が一喫煙が元で病気になった場合、健康ならかからなかったはずのお金が医療費と言うカタチでかかってきますし、
それが元で仕事ができなくなったり、会社を休まなくてはいけなくなったときのことを考えると、その影響は「お金」に姿を変えて戻ってきます。
まさに喫煙は色々な意味において「損」なのです。
しかし、 タバコの弊害は体にとってのものだけではない。というのが今の私の率直な感想です。
体以外の弊害とは、心です。このことを私はあえて「心が傷つく」と表現しています。
潜在意識に傷をつけることが後にいろいろなところに影響します。例えば、みなさんが禁煙を決心したとします。
ところが1週間後、会社の食事会に出かけたあなたはお酒のいきおいもあり、
「今日くらいは吸ってもいいか。」あなたは決心を破り、つい1本タバコに手を伸ばしてしまいます。
禁煙にチャレンジをしたことのある方なら想像が付く状況ですね。
ついつい周りの楽しい状況もあってタバコを吸ってしまう…。
ところがこの時、皆さんの心の中には「禁煙できなかった、そして自分は失敗する人間だ。」という失敗の記憶が確実に残るのです。
2度失敗すれば2回、3度なら3回…あなたの心は傷ついていきます。「失敗した」という記憶だけを残して。何かを達成しようとする強い気持ち、それは自分を信じる力が源となります。そんな大事な時、小さな失敗を繰り返してきたあなたは、自分のことをいったいどう思うのでしょうか?
何の疑いも無く、100%信じることができるのでしょうか?その結果はみなさんの心にお任せいたしますが、少なくとも心は確実に傷付いているのだと私は思います。
喫煙することがもたらす弊害。それは身体の健康も含めたくさんあることは、みなさんもご存知の通りです。最も悪い影響ことは、私は、「タバコが体に悪いと分かっているのに止められない」ことで傷ついた心、そして慢性的に顔をのぞかせる「私は失敗する人間だ」という潜在意識なのではないかと、切に思うんです。みなさんの心身が共に健康であるよう、喫煙することについて改めて考えてみてください。そして体にとって「得」なことを選択しましょう。今の選択が「損」であったと、身をもって知る…そんな日が来る前に。
私のオススメ禁煙法
1 朝起きたらすぐに動く。顔を洗ったり歯を磨いたりして、タバコを吸わない1日のペースを作る。
2 毎朝鏡を見ながら「タバコを吸わない」と自分に言い聞かせる。
3 食事(特に朝食)は腹7分目に。満腹にはしない。
4 タバコを吸いたくなったら、水を飲み大きく深呼吸をする。 |